矯正歯科治療でキレイな歯並びと正しいかみ合わせを得ることは、大変大きいメリットがある一方で、矯正治療にも潜在的なリスクや副作用があることをご理解いただくことが重要です。
※ すべてのリスクや副作用が必ず生じるわけではありません。
(以下、日本矯正歯科学会倫理規定に則す)
- ① 最初は矯正装置による不快感、痛みがあります。装置を付けたり、ワイヤーを調整した数時間後から痛みを感じ、2〜3日をピークに消失します。口内炎ができることがありますが、矯正装置は1週間ほどで慣れることが多いです。
- ② 歯の動き方には個人差があります。そのため、想定した治療期間より延長することがあります。
- ③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に大きく影響します。
- ④ 治療中は装置が付いているため歯が磨きにくくなり、毎日の歯磨きができていないとすぐにむし歯ができてしまいます。むし歯や歯周病のリスクが高まるので、自宅でのセルフケアの徹底、かかりつけ歯科医院への定期的なメンテナンスの受診が重要です。また、歯が動くことで隠れていたむし歯が見つかることがあります。
- ⑤ 歯を動かすことにより歯根(歯の根の先)が溶けて短くなることがあります。
- ⑥ 歯を動かすことで神経障害が起き、神経が壊死することがあります(特に犬歯・舌側口蓋側転位歯・移動量の多い歯)。※症状がない場合もありますが、1本の歯に限局して強い痛みやしみる症状がある場合は”必ず”できるだけ早期に医院に電話連絡してください。
- ⑦ 歯ぐきがやせて下がることがあります。下の前歯では歯の根元に三角形の隙間(ブラックトライアングル)ができる場合があります。※もともとの歯周病などによる歯槽骨の下がり具合や叢生量に影響を強く受け、40歳を超えると特にブラックトライアングル発生が懸念されます。
- ⑧ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあり、場合によっては治療方針の変更が必要となることがあります。※治療開始前に必ずわかるというものではないので、治療開始してから発覚する場合もございます。場合のよっては追加抜歯やデンタルインプラントが必要になります。
- ⑨ 顎の歪みは矯正治療だけでは治りません。また、顎の歪みにより歯の角度やかみ合わせの角度の調整に限界が生じ、上下歯列正中を一致できない場合があります。
- ⑩ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- ⑪ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- ⑫ 骨性癒着や装置の使用協力度を含む様々な問題により、ごくまれに当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- ⑬ 最終段階で歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりすることがあります。
- ⑭ 何らかの要因で矯正装置が外れたり、外れた矯正装置を誤飲する可能性があります。
- ⑮ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- ⑯ 矯正治療終了後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。ただし、指示通り使用していても後戻りすることがあります。
- ⑰ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- ⑱ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- ⑲ 治療後に親知らずが生えて、でこぼこが生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- ⑳ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
※ 今後表現などが変更になる可能性があります。