矯正治療で使うネジ「アンカースクリュー」ってなに?
こんにちは、金沢けんろく矯正歯科の院長のまだちです。
矯正治療について調べている方は、「矯正治療で歯茎にネジを打ち込んで治療することがある」という情報を得ているかもしれません。
え?ネジを歯茎に打ち込む?!痛そう!と思われるでしょう。
今回はそのネジ、歯科矯正用アンカースクリューについてのお話です。
この記事を読むことで「矯正治療で使うネジ(歯科矯正用アンカースクリュー)のこと」がわかります。(所要時間約5分)。
目次
- ・ 歯科矯正用アンカースクリューってなに?
- ・ 歯科矯正用アンカースクリューはなぜ必要なの
- ・ 歯科矯正用アンカースクリューのメリット・デメリット
- ・ 歯科矯正用アンカースクリューは治療法ではなく手段のひとつ
- ・ 歯科矯正用アンカースクリューのQ&A
歯科矯正用アンカースクリューは頼もしい味方
歯科矯正用アンカースクリューってなに?
歯科矯正用アンカースクリューはチタン製の直径1.4~1.8mm 程度、長さ6~8mm 程度のネジです。人工関節などにも使用されているチタン製なので基本的には人体にも安全です。これを骨に打ち込んで歯を動かす際の支え(固定源)として利用します。
歯科矯正用アンカースクリューはなぜ必要なの
矯正治療は、歯と歯が綱引きをして少しずつ移動していきます。そのため、動かしたい歯だけを思い通りに動かせるわけではなく、常に反動で別の歯にも引っ張られてしまう力が働きます。
出っ歯の程度が大きい場合や奥歯の動かす量が大きい場合は、従来ではヘッドギアと呼ばれる帽子型の装置を使用したり、針金が歪まないように極めて慎重に歯を動かしていく必要がありました。しかし、ヘッドギアは大きい装置で患者さまには喜ばれない不快感を伴う装置でした。また、針金が歪まないように慎重に歯を移動させていくとどうしても治療期間が延びてしまうことも多くありました。このように従来の方法では正しく治療すれば効果はあるものの、しっかり使用できるかどうかの不確定要素や治療期間の延長という患者さまのモチベーションを低下させてしまう可能性がありました。
しかし歯科矯正用アンカースクリューの登場により、より効率的に歯の移動が可能となったのです。
歯科矯正用アンカースクリューは骨に直接打ち込んで支えとするため、「歯 対 歯」の綱引きではなく「歯 対 骨」となりました。もちろん、骨に打ち込んだネジは動きませんから、動かしたい歯だけを思い通りに動かせるようになるわけです。
歯科矯正用アンカースクリューが必要な場合
・ 出っ歯や奥歯の移動量が大きい場合
・ ガミースマイル(笑った時に歯茎の露出量が多い)を改善する場合
・ 開咬(前歯のかみ合わせがない)の場合
・ デコボコの程度が小さく歯を抜かないで治せそうな場合
歯科矯正用アンカースクリューのメリット・デメリット
メリット
・ 従来の方法では難しかった歯の動きが可能となる
・ 治療期間が短くなる
・ 抜歯をしないで治療ができる可能性がある
・ 外科手術を伴った治療を避けられる可能性がある
デメリット
・ 簡単ではあるが麻酔を伴った処置が必要
・ 清潔に保てないと細菌感染して膿んだり腫れたりすることがある
・ 骨に定着しないことがあり、打ち直しが必要になることがある
・ 打ち込む際に歯の根に当たって痛みが生じることがある
・ 顎の成長が落ち着く15歳以上じゃないと使えない
歯科矯正用アンカースクリューは治療法ではなく手段のひとつ
さて、ここまで歯科矯正用アンカースクリューについてお話してきましたが、「インプラント矯正」という言葉が独り歩きしている事実は見逃せませんのでお伝えしておくと、歯科矯正用アンカースクリューは治療法ではなく患者さまの主訴(一番気にしている部分)を改善するための手段のひとつでしかありません。歯科矯正用アンカースクリューそのものが治療法なのではなく、あくまで表側矯正・舌側(裏側)矯正・マウスピース型矯正の付加装置のひとつであり、「インプラント矯正がすごい」という認識を改めていただきたいと思います。
私は歯科矯正用アンカースクリューは万人に使うものではなく、必要な場合に限り使用するべきものだと考えています。認定医などの審査でも、歯科矯正用アンカースクリューの使用は厳しくチェックされ、その症例に本当に必要だったのかを厳密に検討され、不要だったと判断された場合は減点になることもあるのです。スクリューありきの治療でなんでもかんでも使えばいいわけではなく、また、歯科矯正用アンカースクリューは万能ではなく治療の限界があることは肝に銘じておく必要があります。
歯科矯正用アンカースクリューのQ&A
Q.痛みはありますか?
イメージしづらいかもしれませんが、抜歯よりもあっさり終わるので驚かれる方もいるほどです。また、歯がなくなったときに打つデンタルインプラントのようにガーッと骨を削って打ち込むものではありません。表面麻酔(注射針の痛みを軽減する前処置)⇒ 局所麻酔(注射の麻酔)⇒ 埋入という流れでだいたい15分前後で終わります。痛み自体も麻酔をするためほぼ感じませんし、術後も処方された痛み止めを服用すれば問題ありません。
Q.どれくらいの期間入れておくんでしょうか
動かす量によるので一概には言えませんが、治療が終了する時点で装置と一緒に外します。跡もきれいに治りますのでご安心ください。
Q.術後に注意することはありますか
基本的には清潔に保つことが一番です。柔らかい歯ブラシで磨いてあげてください。日常生活に支障が出るような制限はありませんのでご安心ください。
以上、歯科矯正用アンカースクリューについてのお話でした。いかがだったでしょうか。歯科矯正用アンカースクリューは、我々矯正医だけではなく患者さんにとっても選択肢を増やしてくれる頼もしい味方です。痛そうだからという理由で拒否するのではなく、矯正医に提案された際はなぜそれが必要かをよく聞いてご理解いただき、本当に必要そうだと感じた際はぜひ前向きに検討していただければ幸いです。
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